19世紀に終止符を打たれたはずの人身売買・奴隷制が、
21世紀、過去にひけをとらない残忍性と力を持って、再び現われた。
年に320億ドル(2兆6000億円)以上を稼ぎ出し、犯罪産業の中でも急成長している人身売買。なかでも、子どもや女性が被害者になる性産業はその多くを占める。被害者はなぜ人身売買業者の手に落ちてしまうのか、この巨悪を支えるのは何なのか。答えを求めて、映画監督のベンジャミン・ノロと仲間たちは、4つの大陸を巡るドキュメンタリー撮影に旅立った。
カメラは、人身売買の温床となっている東欧モルドヴァ共和国の孤児院から、孤児院出身者の多くが売られていく先のオランダ・アムステルダム、「性売買のディズニーランド」とも称されるタイ、親が日常茶飯事に子どもを売るカンボジアのある村を経て、最後にアメリカの実態に目を向ける。映画『プリティ・ウーマン』に憧れて自ら娼婦の道を選んだ少女の行く末は……。
性的搾取の実態を描いた再現ドラマを交えつつ、実際の被害者・加害者へのインタビュー、そして被害者のために働く臨床心理士ら専門家への取材も加えて、巨大産業である性的人身売買の闇のシステムに迫る。
製作者《エクソダス・クライ》とは
アメリカ・ミズーリ州に本拠を置くNGO。『Nefarious』第1作(本作品)の製作後、性的人身売買についての啓蒙活動、被害者支援シェルターの運営、祈りの集会などを国際的に展開。『Nefarious』は三部作になる予定で、現在第2作目を製作中。
映画紹介者《Not For Sale Japan》とは
アメリカ・カリフォルニア州で設立された反人身売買NGO、Not For Saleの日本支部。翻訳者でもある現代表の山岡万里子が、Not For Saleの代表デイヴィッド・バットストーンの著書『告発・現代の人身売買』(朝日新聞出版)を訳す過程で、Not For Sale の活動に共感し、2011年に立ち上げた。現在は、映画『ネファリアス――売られる少女たちの叫び』の紹介等、現代の人身売買についての啓発活動を主に行なっている。
公式サイト(英語)